失ってから気づくもの
学校がどうも苦手だ。馴れ合いが蔓延る同期感がどうも得意ではない。
それで体調を崩したが、短所なほどに生真面目な性格が仕事をして、時間をかけていろんなことに挑戦するようになって、たくさんの人と関わるようになった。
そして、後輩だらけになったサークルや人生の先輩だらけの舞台現場を居場所だと思えるようになった。同期だけの場所より背負うものは増えるけど、学校よりとても楽しい。
特段尊敬している先輩が結婚した。異性の先輩だ。
年は少し離れているが、共通の極めたい趣味のサークルに属していて、向上心があって優秀な先輩。
先輩がより幸せになるのならそれ以上のことはないと思っていた。
結婚されたことを知った時は純粋におめでとうと思う気持ちだけだったのに、先輩の奥さんのお話を聞いていたらどこか複雑な感情が生まれた。
私の方が昔から知っているとか、技術の高さが分かるとか、どうでもいい感情がかすめていった。私も奥さんのようにストレートに1番尊敬している先輩であることを彼に伝えられたらいいのにと思った。今更伝えようとしたって、もう純粋な動機ではない。
変わらず静かに誠実にやっていくだけ。
彼の役に立ちたい気持ちは変わらない。
私は裏方だ。